ワルリ絵画

ワルリ族は長い間ひっそりと独自の文化を守ってきたため、 ワルリ絵画 が他の人々に知られるようになったのは1970年代になってからだったよ うです。

一見単純にみえる線と円、三角形を基本にして描かれるワルリ絵画で すが、 そこには鋭い観察力をもって、自然との調和を保って生きるワル リ族の世界観や 自然界のサイクルが描き出されています。
ワルリ絵画はもともと、結婚した夫婦の家の、入って最初に目にする 壁に婚姻の印として、 また村人たちからの祝福の印として村の女性達の 手によって描かれていました。
それが発展して次第に生活の様子や儀 式、生死観、世界観を表す絵なども 描かれるようになりました。

長年の搾取や近年のワルリの生活圏破壊の影響でワルリ文化は薄れつ つありましたが、 近年インド国内外のNGOによって展開されているワルリ 文化保護プロジェクトによって、 再びワルリはその伝統絵画の価値を自 覚し描きはじめています。

本来は土壁に描かれているワルリ絵画ですが、最近では布に描かれる こともしばしば。
その際に使われる絵の地色は茶、深緑、グレー、黒の4 色です。
原料は茶は赤土、深緑は牛糞、グレーは灰、黒は炭。
この4色は それぞれ、家の外、家の中、家の中と外、夜を表しています。
これらの 原料に糊を混ぜたものを布に塗り、乾かしたものにお米の白い粉を水で 溶いた白色の液か、白色の顔料で描きます。
筆は竹の先を噛んで柔らか くしたものを使います。

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